2008 Fiscal Year Annual Research Report
界面現象を利用した高プロトン伝導体の合成と新規燃料電池システムの創成
Project/Area Number |
20681007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大友 順一郎 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 准教授 (90322065)
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Keywords | 燃料電池 / プロトン伝導体 / 界面イオン伝導 / 電極反応 / 省エネルギー |
Research Abstract |
界面におけるイオン伝導特性の向上を利用した新規な無機プロトン伝導性複合電解質材料の開発および新規燃料電池システムの創成を目的とし、平成20年度(初年度)は、プロトン伝導性リン酸亜鉛ガラス電解質にピロリン酸チタン(TiP_2O_7)微粒子を導入した無機ガラス-微粒子複合体(ZnO-P_2O_5-TiP_2O_7)を合成し、その伝導特性について検討した。特にTip_2O_7微粒子の添加効果について検討した。その結果、加湿雰囲気において生成したリン酸亜鉛ガラスゲルとTiP_2O_7微粒子の界面においてプロトン導電率の上昇効果が見いだされた。プロトン導電率はTiP_2O_7微粒子の体積分率が20%の時に最大値を示し、10^<-2>S/cmの非常に高い導電率を示した。また、今回合成した材料は、加湿雰囲気条件下に限定されるが、80℃から200℃の広い温度領域で高いプロトン導電率を保持することがわかった。次年度は、得られた知見を基に低加湿条件で作動可能な材料開発に展開する。 新規燃料電池システムの創成に向けて、250℃付近の中温域で作動する中温作動燃料電池は、電極触媒である白金触媒量の低減、発電効率の向上および廃熱の有効利用の観点から有効な発電システムである。本年度は、250℃付近のアルコール類(メタノール、エタノール)の電極酸化反応について、半セルを用いた検討を行った。メタノールおよびエタノールの反応生成物を新規に構築した質量分析測定システムで観測したところ、両者のアルコールにおいて二酸化炭素までの完全酸化反応の進行が確認された。また、固体高分子形燃料電池と比較して、より低電位での酸化電流が観測された。この結果は、中温作動燃料電池の優位性を示す結果である。次年度は、新たに発電システム装置を構築し、詳細な反応機構解析の検討に着手する。
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