2011 Fiscal Year Annual Research Report
界面現象を利用した高プロトン伝導体の合成と新規燃料電池システムの創成
Project/Area Number |
20681007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大友 順一郎 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 准教授 (90322065)
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Keywords | 燃料電池 / プロトン伝導体 / 界面イオン伝導 / 電極反応 / 省エネルギー |
Research Abstract |
平成23年度(最終年度)は、主に中温作動燃料電池(ITFC)の発電状態における電極反応機構の検討を行った。電極触媒として白金/カーボン触媒(Pt/C)を用い、白金上のアルコール類の電極酸化反応の速度論的検討を通じて、本研究の中心課題である250℃近傍で作動するITFCシステムの特徴を明らかにすることを試みた。プロトン伝導性固体電解質として、酸素酸塩であるリン酸二水素セシウムを使用した。多価アルコール燃料としてエチレングリコールおよびグリセリンを選択し、250℃近傍でのそれらアルコール類の電極酸化反応の詳細な速度論的解析を行った。昨年度検討したエタノール等の一価のアルコールに加え、多価アルコールの電極酸化反応機構を比較検討することで、これらの反応機構の詳細な知見を得ることができる。なお、グリゼリンはバイオディーゼル燃料の副産物として生成するため、近年その用途拡大が望まれている。80℃近傍で作動する通常の固体高分子形燃料電池(PEFC)の場合では、エチレングリコールおよびグリセリンの二酸化炭素への完全酸化の割合は低いことが示唆されているが、ITFCによるエチレングリコールの電極酸化反応を観測したところ、C-C結合の開裂の割合が95%に達し、完全酸化反応が速やかに進行することが明らかになった。この成果はH23年度に専門誌に掲載された、また転,グリセリンのC-C結合開裂の割合も80%を超えていることが明らかになった。以上より、昨年度までに実施したエタノールの検討を含め、ITFCに適用によってアルコール類の電極酸化反応の活性が著しく向上し、発電効率向上へのアプローチを明確に示すことができた。加えて、中温域での一連のアルコール類の電極酸化反応機構の詳細を明らかにすることで、基礎と応用の両者の観点から、ITFCの特徴と利点を示すことに成功した。
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Research Products
(5 results)