2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20681012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白木 将 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教 (80342799)
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Keywords | 表面 / ナノプローブ / ナノ構造物性 / 磁性 / X線吸収分光 |
Research Abstract |
微傾斜表面に金属原子を極微量蒸着し、その蒸着量を制御することによって、金属原子のナノワイヤのサイズや形状を精度良くコントロールできる。本研究では、Au(788)微傾斜表面上にMnの1次元単原子鎖あるいは2次元ナノアイランドを構築し、その磁気構造をX線吸収分光ならびに磁気円二色性を用いて調べた。 Mnナノワイヤでは、低温(17K)、強磁場(1.9T)のもとで、明確なMCDシグナルが観測された。これはMnナノワイヤが、低温では磁場印加方向に磁化されていることを示す。またMCD強度の角度依存性から表面垂直方向が容易軸となる磁気異方性が確認された。バルクでは反強磁性を示すMnが、ナノワイヤなどの低次元ナノ構造において、その磁気構造を大きく変化させることを明らかにした。 一方、2次元MnナノアイランドでもMCDシグナルは観測されたが、その強度はナノワイヤと比べ弱いものであった。磁気異方性はなく、MCD強度の温度依存性から、Mn原子間には反強磁性的相互作用が働いていることが示唆された。これらの磁化特性は、Mnが本来持つ反強磁性がナノ構造でも保持されていることを示している。また、Au表面におけるMn原子配列が三角格子となることから幾何学的フラストレーションにより特異な磁気秩序を持つことが示唆される。 以上の結果から、低次元ナノ構造体では、その大きさや形状、次元性により、ナノ構造の持つ磁性が変化することが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)