Research Abstract |
1ハーフメタル合金薄膜の材料探索および作製技術開発 Co_2MnSi組成のホイスラー合金電極と酸化マグネシウムを用いたトンネル接合素子に種々の材料を界面挿入した.その結果,2原子層程度の極薄CoFe層を挿入した場合に最も磁気抵抗特性が向上し,低温において1275%,室温において350%の磁気抵抗比を得ることに成功した.この磁気抵抗比はハーフメタル電極を用いたトンネル接合で世界最高であり,論理回路応用に対して最適な組成が探索出来たといえる. 2ハーフメタルトンネル接合素子の低抵抗化とスピン注入磁化反転の観測 前年度に引き続き,トンネル接合素子の酸化マグネシウム絶縁層膜厚を0.7~1.0nm程度まで薄膜化し,ホイスラー合金電極トンネル接合の低抵抗化とスピン注入磁化反転の観測を行なった.素子作製条件の最適化の結果,当初の目標を上回る100×200nm^2の素子サイズでで150%超のTMR比を観測することに成功した.また,MgO膜厚が0.7nmの試料において,5.9×10^6A/cm^2の電流密度でのスピン注入磁化反転が安定して行なえる微細加工プロセスを確立した. 3ハーフメタルスイッチの開発と不揮発論理回路への応用 前年度までに,Co_2MnSiホイスラー合金電極を用いたトンネル接合を直列に接続した素子において,6Kではあるが,印加電圧によって電流が数倍変化するスイッチ特性を観測した.今年度は,直列接続した素子に並列に負荷抵抗を付与し,電流を印加することで磁気抵抗比を印加電流によって大きく変化させることに成功した.このことによって,ハーフメタルトンネル接合を組み合わせることで,論理回路に応用できる可能性を示した.
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