2010 Fiscal Year Annual Research Report
ハプロイドDNAを用いた日本人ゲノム多様性情報基盤の高度化
Project/Area Number |
20681020
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
久木田 洋児 地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪府立成人病センター(研究所), 研究所, 研究員 (60372744)
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Keywords | ゲノム / 遺伝子 / ゲノム多様性 / ハプロタイプ / 癌 |
Research Abstract |
本研究では日本人集団多様性情報の医学への応用を目指した情報基盤整備を行うために、日本人ゲノムの高精度SNP(一塩基多型)/CNV(染色体領域コピー数多型)ハプロタイプ地図を作成し、それをデータベース化することを目的とした。最終年度は、前年度までに収集した日本人の単一精子由来完全胞状奇胎100検体分のAffymetrix社SNP6.0アレイとIllumina社Human1Mアレイの実験結果を統合した解析を行い、データポイント2,000,000以上の高密度かつ実験的に決定したハプロタイプ地図を作製した。この結果はデータベース化してあり、近日中にインターネット上で公開する予定である成果の一部は学術誌に発表している(Kukita et al., Am.J.Hum.Genet.86: 918-928, 2010)。また、本研究の成果及び公共データベースの多型情報を利用して、次世代シーケンス技術による疾患原因異常を効率よく解析する為の個人ゲノムデータ解析システムを構築した。テストケースとして、同胞肺癌症例の全遺伝子配列解析を行った。全遺伝子のタンパク質コード領域に対し、約100倍の冗長性で塩基配列決定を行い、ヒトゲノム参照配列と比較して、各検体の変異部位を特定した。既知多型を排除し、アミノ酸置換を伴う新規変異を各検体について約500個ずつ検出した。さらにゲノムワイドなSNPアレイ解析により、1Mb以上のホモ接合領域が多数存在することを発見し(検体あたり200Mb)、本症例が血族結婚を経ている事を明らかにした。シーケンス結果とSNPアレイによるホモ接合マッピング解析を統合することにより、22番染色体上の細胞周期制御遺伝子に同遺伝子産物を不安定化させるホモ接合突然変異を同定した。この遺伝子の不活化が肺癌の発症に強くかかわっていると考えられる(久木田,第33回日本分子生物学会年会[神戸])。
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