2008 Fiscal Year Annual Research Report
人口構成の変化と介護労働の国際移動に関する研究-看護・介護・家事労働者および結婚移民を中心に-
Project/Area Number |
20681025
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Research Institution | Kyoto Human Rights Research Institute |
Principal Investigator |
安里 和晃 Kyoto Human Rights Research Institute, 研究第4部, 嘱託研究員 (00465957)
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Keywords | 少子高齢化 / 東アジア / 家族化政策 / 移住労働の女性化 / 結婚移民 / 経済連携協定 / 医療ツーリズム / 看護 |
Research Abstract |
本研究は1.看護・介護・家事労働の国際移動,2.結婚移民,3.送り出し国の政策比較の3つの柱から構成されている。1.看護・介護の国際移動については日本におけるインドネシア・フィリピンからの受け入れに特に着目して送り出し・受け入れ国双方から研究を行った。このテーマは社会的要請が強く、研究者の立場からシンポジウムの企画・実施、論文の執筆、新聞・テレビなどの取材に応じた。2.については特に台湾に着目して結婚移民が家事・介護労働者の雇用とともに家族ケアを確保する手段であるとの認識から、残余的福祉国家における「家族化」政策の一環として把握した。結果は論文などに執筆した。3.の送り出し国の政策比較についてはタイ、インドネシア、フィリピンそれぞれにおける現地調査を実施した。特にタイについては医療従事者の海外出稼ぎ奨励よりも、むしろ医療ツーリズムを通じて海外から患者をよびこむ政策を実施している。インドネシア、フィリピンについては外貨獲得策という政策目標を移動の自由、職業選択の自由を根拠として移住労働を奨励していること、フィリピンについては看護師・ケアギバーの供給過剰という背景が存在し、インドネシアについては今後都市部において看護師の供給過剰が予想されることから、「看護の国際化基準」といった制度整備を急いでいる。この研究は少子高齢化が進展するアジア諸国において、看護・介護・家事労働といったケアのギャップが拡大していることに着目し、女性の移住労働だけではなく、国際結婚といった女性の移動が進展していることを明らかにすることを目的としているが、昨年度の調査・研究を通じて移住労働と結婚移民が異なる移動ではなく、両者が総合される可能性を持つことが示唆された。
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