2009 Fiscal Year Annual Research Report
シーア派イスラーム社会を中心とした聖地巡礼の比較史的研究
Project/Area Number |
20682005
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
守川 知子 北海道大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (00431297)
|
Keywords | 聖地 / シーア派 / 巡礼 / 聖者 / イラン / イラク / イスラーム / 比較史 |
Research Abstract |
本研究2年目となる平成21年度は、おもに比較となる地域の資料調査・現地調査に重点を置いて活動した。調査地として、グルジア、アルメニア、ギリシアなど、イスラーム世界と近く、また歴史的にも影響を及ぼしあった地域を対象とした。なかでもアルメニアでは、本研究テーマのひとつである「聖地の成り立ち」について、キリスト教やイスラームが入ってくる以前からの場所が連綿と聖地であり続ける事例を多数確認することができた。またギリシアでは、「道祖神」のように小さな祠が辻や街道に設けられている事例を目にし、現在のシーア派イラン社会で見られるイマームザーデ縁起との比較における新たな視点を見出した。 2009年10月には東京大学主催の「死生学」プロジェクトの一環であるエジプト会議に参加し、死者の聖地巡礼について報告した。 2010年1月30日には、北海道大学文学研究科からの助成を受け、「シーア派社会と聖地・聖廟-歴史学の視点から」と題するシンポジウムを報告者自らが主催した。このシンポジウムでは、国内から4名の講演者と1名のコメンテータを招へいし、報告者自身もイラン国内のイマーム廟参詣について報告した。本研究課題と密接にかかわるとはいえ、国内では非常に特化した内容であったにもかかわらず、50名近くの参加者を集め、時間を大幅に超過する活発な議論が交わされた。 来年度早々には、スコットランドおよびアメリカ合衆国で口頭報告を行う。前者ではゲスト・スピーカーとして招待されており(持ち時間75分)、一方後者の学会Iranian Studiesは常に数百人規模の大会となることから、これらの機会に国外の研究者と交流し、イスラーム社会の聖地や巡礼について議論することが期待される。
|