2010 Fiscal Year Annual Research Report
シーア派イスラーム社会を中心とした聖地巡礼の比較史的研究
Project/Area Number |
20682005
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
守川 知子 北海道大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (00431297)
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Keywords | 聖地 / シーア派 / 巡礼 / イラン / イラク / 比較史 / イスラーム / 聖者・聖人 |
Research Abstract |
本年度は昨年度に引き続き、キリスト教社会の聖地巡礼について現地調査を行った。特に、ローマ巡礼やイタリアに現存する幾つかの「聖地」を見て回った。中でもアルプスの南麓にあるサクロ・モンテ(VaralloおよびOrta San Giulio)は、イスラーム勢力の台頭により聖地エルサレムに巡礼できなくなったことを理由に、15世紀末に新たに「つくられた」聖地であり、その時代背景や聖地が生成される歴史的過程、当該地域での社会的な重要性等、大いに興味を抱くものであった。イスラーム社会との比較材料としては非常によい題材であり、中世・近世社会の聖地生成をテーマに今後イランのイマームザーデ祠廟と比較検討する。このほか、アジアの聖地や巡礼としてヴェトナムで調査を行ったが、アジアの場合はイスラームやキリスト教など一神教の世界とは大きく異なる印象を受けた。ヒンドゥー教や仏教社会での巡礼については、今後さらに検討していきたい。 2010年度には4月と5月に2度、国際的な学会や研究集会でシーア派社会の聖地巡礼について報告を行った(そのうちの1回は招待講演であり、その成果は現在印刷中である)。また11月には、日本イスラム協会が主催する「イスラーム世界の墓廟参詣」と題する公開講演会で、シーア派ムスリムの聖地巡礼について一般向けに講演した。 現在進めているイランのシーア派聖廟(レザー廟)の寄進財産目録については、刊行の目処がついたので、来年度中にはその刊行を目指し、同時にイラン国内のシーア派聖廟の社会的役割についても研究報告を行う予定である。
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