2010 Fiscal Year Annual Research Report
自己選択バイアスを考慮した通信市場のスイッチングコストに関する実証研究
Project/Area Number |
20683002
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
中村 彰宏 横浜市立大学, 国際マネジメント研究科, 准教授 (00368581)
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Keywords | スイッチングコスト / 自己選択バイアス / 2step model / 通信政策 / 垂直統合 / 携帯電話 / 加入需要 / ネットワーク外部性 |
Research Abstract |
本研究は、ネットワークサービスに焦点を置き、ネットワーク外部性を考慮したスイッチングコストを計測することを目的としている。ネットワーク型の通信サービスは、加入して消費するという形が一般的であり、加入という自己選択バイアスを取り除いた計量経済モデルを構築して実証分析を行う必要がある。22年度は、前年度までの水平的連監視上の分析について一定の成果を得るとともに、従来型の通信サービス(PSTN経由による固定電話)からIP電話や携帯電話へのスイッチ、音声通話からデータ通信へのスイッチについて、サービス維持という視点からアンケート調査データを基に分析を進めた。分析の結果、消費者はこれほど普及したデータ通信よりも音声通話を維持することに高い効用を感じていることがわかり、通信形態のスイッチは大きな抵抗となっていることが明らかとなった。政策的にもユニバーサルサービスという視点から当該スイッチングコストを考慮した検討がなされる必要があると言える。また、22年度の研究では、固定・移動体双方のプラットフォーム・アプリケーションレイヤーで注目されているソーシャルネットワークサービス(SNS)のスイッチングコストを計測するためのアンケート調査を実施した。SNSに関しては、友達の数が一種のコーリングサークルイフェクト(狭い範囲のネットワーク外部性)と考えられるが、現状のSNS利用者の友達数は10人以下が最も多く、比較的ネットワーク外部性が小さく、結果的にスイッチングコストが相対的に低いことなどが明らかとなっている。
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Research Products
(6 results)