2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20683003
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
川口 大司 Hitotsubashi University, 大学院・経済学研究科, 准教授 (80346139)
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Keywords | 経済政策 / 経済統計学 |
Research Abstract |
平成20年度までの研究で賃金格差の時系列動向について、その動向を規定する要因について論文をまとめた。 これを受けて平成21年度は、1990年代の後半から2000年代の前半にかけて女性賃金分布の下位部分で起こった分布圧縮の要因について研究を進めた。 分析の結果、この期間に起こった最低賃金の実質的な価値の上昇が賃金分布の下位部分における賃金圧縮を引き起こしていることが明らかになった。また最低賃金の上昇が中高年女性の雇用を減少させる効果を持つものの、雇用の減少によって起こる機械的な賃金圧縮の効果は無視できるほど小さいことも明らかになった。 以上、最低賃金の引き上げについては働いているものの中の賃金分布を平等化させることが明らかになったが、低技能労働者の雇用を奪うという可能性もある。この可能性について研究を行った。都道府県別のパネルデータを作成し、各都道府県の最低賃金水準と、若年や女性といった最低賃金の影響を受けやすいと考えられる層の就業率の関係を推定した。その際には各都道府県の観察不能な異質性が、最低賃金水準と相関している可能性に留意して固定効果推定に重点を置いた推定を行った。 推定の結果、最低賃金の実質的な上昇は若年男性並びに中高年女性の就業率を下げることが明らかになった。特に既婚の中高年女性の就業率への影響が大きくなることが明らかになった。
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Research Products
(14 results)