2008 Fiscal Year Annual Research Report
運転者の注意低下に起因する反応時間の遅れ推定に関する研究
Project/Area Number |
20683008
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松木 裕二 Kyushu University, 大学院・システム情報科学研究院, 助教 (00315128)
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Keywords | ドライビングシミュレータ / 反応時間 / 確率密度関数 / 注意 |
Research Abstract |
平成20年度の研究実績は以下のとおりである. 1. 本研究の目的は, 運転中の運転者の注意低下をリアルタイムに評価することである. これを実現するために本研究では, 運転者の眼球運動および瞬目活動に着目した. 眼球運動および瞬目活動の計測は, 眼球運動計測装置であるSeeing社製FaceLabシステム(本予算にて購入済み)を用いることにした. 一方, 運転者の運転挙動計測や視覚刺激の提示については, この眼球運動計測装置に合わせた仕様にする必要があったため, 新しいドライビングシミュレータシステムの開発を行った. このドライビングシミュレータは, 従来のドライビングシミュレータに比べて, 大きな画角(約135度)と高い解像度(5760pixel×1080pixel)を持つ特徴を有している. このような広い画角と高い解像度によって, 運転者の視界の自由度を確保することが可能になった. また, 眼球運動計測装置と開発したドライビングシミュレータシステムは, 高速なネットワークで接続されているため, 眼球についての計測結果は, リアルタイムでドライビングシミュレータ用計算機でも処理することが可能である. そのため, 来年度開発予定の運転者の注意低下を警告するシステムの評価装置としても利用することが可能になった. 2. 本研究では, 運転者の注意低下状態の評価を, ある確率密度関数による反応時間分布で表わすことを提案している. 従来から実験心理学の分野においては, 反応時間を表す分布モデルがいくつも提案されている. しかしながら, 本研究のように運転者の状態が連続的に変化する(注意低下や覚醒水準低下)ような場合のモデルについては殆ど提案されていない. そこで, 先に開発したドライビングシミュレータを運転中の運転者の反応時間を計測する実験を行った. この計測結果を用いて、確率分布モデルを規定する方法について検討した.その結果、確率密度分布の推定には, ガウシアン核密度推定法を用いることが有効であることを確認した. また, 核密度推定法によって得られた確率密度分布から, 確率分布モデルおよびパラメータの推定を試みた. その結果, 自動車運転中の反応時間の確率分布は, 運転者の状態に関わらず, ex-Gaussian分布が良く当てはまることが明らかになった.
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