2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20684001
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤野 修 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 准教授 (60324711)
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Keywords | 極小モデル / 消滅定理 / 混合ホッジ構造 / 双有理幾何 / トーリック多様体 |
Research Abstract |
20年度は主に極小モデル理論の枠組みの整備を行った。数年前からの研究の総まとめである。具体的には、対数的標準対と言われる正規な多様体とその上の実係数因子のペアに対して、固定点自由化定理、有理性定理、錐定理、収縮定理を示した。これはもともとAmbroによって宣言されていた結果である。Ambroの方法に従い、消滅定理や捻れ不在定理を可約な多様体上で、混合ホッジ構造の詳しい解析の結果として証明し、それらを駆使して擬対数的多様体の理論を再構築した。これによって、上記結果はすべて証明出来る。これらの結果は1冊の本として出版予定である。すでに原稿は投稿済みである。 ここまではAmbroの理論の厳密化、精密化に過ぎない。その後、全く違う方法でAmbroの擬対数的多様体の枠組みを用いずに、もっと直接的に対数的標準対に対する固定点自由化定理、有理性定理、錐定理、収縮定理を証明することに成功した。この新証明は、擬対数的多様体の理論のような巨大な枠組みを使ったものより直接的であるばかりか、従来の川又によるX論法よりもある意味簡潔である。Ambroに始まる新しい消滅定理の考え方、従来の川又のX論法、Nade1に始まりSiu達によって効果的に用いられた乗数イデアル層を用いた議論の良い点をすべて吸収し、発展させたのが私の新証明である。適用範囲は川又のX論法や乘数イデアルのより遥かに広く、Ambroの擬対数的の理論より明らかに簡単で応用に適していると思われる。今後はこの手法をつかって極小モデル理論の様々な結果の対数的標準化を目指したい。
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