2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20684001
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤野 修 京都大学, 理学研究科, 准教授 (60324711)
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Keywords | 極小モデル / 半安定退化 / 劣随伴公式 / アバンダンス予想 / 双有理幾何 |
Research Abstract |
本年度は主に極小モデル理論について研究した。昨年度に続き、東京大学大学院博士課程の權業善範氏と共同研究した。具体的には、対数的標準対の極小対数的中心に対して劣随伴公式を証明した。これは川又雄二郎氏(東大)による疑問に完全に答えたことになっている。川又氏による劣随伴公式は豊富因子を少し足してやる必要があったのだが、我々の公式ではそのような補正項は不必要である。現在、極小モデル理論で最も重要と思われているアバンダンス予想の証明等で、我々の公式が有効に使われることを期待したい。極小モデル理論に関するもう一つの研究としては、標準因子が自明な多様体の半安定的極小モデル理論である。極小モデル理論はここ数年爆発的な発展を遂げているが、基本的に対数的標準因子がある種の巨大性を持った場合に限られていた。ところが、Drue1氏と権業氏によって(中山の意味での)数値的小平次元がゼロの多様体の極小モデルが構成された。大雑把にいうと、小平次元で代数多様体を分類したとき、一番大きい方だけでなく、一番小さい方も極小モデル理論が完成した、ということである。この權業氏の数値的小平次元ゼロの場合の極小モデルの構成と松下大介氏(北大)のアーベル多様体の半安定退化の話に触発され、標準因子が数値的自明になる代数多様体の半安定極小モデルの構成を実行してみたのである。私の結果は高山茂晴氏(東大)の標準因子が数値的自明になる多様体の退化ファイバーについての結果の極小モデル理論的な観点からの一般化にもなっている。このように、本年度は比較的順調に研究が進んだと思う。来年度以降も研究に励みたいと思う。
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Research Products
(6 results)