2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20684001
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤野 修 京都大学, 理学研究科, 准教授 (60324711)
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Keywords | 極小モデル / 混合ホッジ構造 / 標準束公式 / 消滅定理 / 代数曲面論 / 対数的標準特異点 |
Research Abstract |
高次元代数多様体論は数年前の[BCHM]と呼ばれる大論文で劇的に発展したが、その後も発展は続いている。一番重要であると思われていた標準環の有限生成性は証明されたが、フリップの停止問題、アバンダンス予想など、問題はまだまだたくさんある。平成23年度の最初の仕事として、孤立した対数的標準特異点の構造を極小モデル理論の最先端の道具を使って調べてみた。これは数年前に暇つぶしに考えた問題である。その当時は極小モデル理論が現在のように発展しておらず、極小モデル理論が発展すればいろいろなことが出来るな、と夢のように考えて個人的にノートに書きためていたものであった。博士課程のときに考えていた特異点の研究の延長である。この研究は最先端の極小モデル理論、比較的最近証明された特異点解消の精密化などを駆使しており、私が学生のころには不可能な研究であったと思う。今回の私の研究の結果、80年代から90年代にかけて石井志保子氏(東大教授)によってなされた特異点の研究は自然に極小モデル理論の枠組みに吸収することが出来たと思っている。道具の進歩が特異点論の研究を劇的に発展させてくれたと思っている。ただ、一昔前は特異点論は流行っていたように思うが、最近は石井氏の研究を継ぐような研究は全く見かけないので、今回の私の話が特異点論の専門家にどのように思われているのかは気になる点である。この特異点の研究は思わぬ副産物をもたらしてくれた。高木俊輔氏(東大准教授)によって私の上記の仕事は有効利用され、対数的標準特異点とF-pureなる環論的な特異点に関する深い予想について部分的な結果を得ることが出来た。たとえば、大雑把に言うと、3次元で孤立している対数的標準特異点はF-pureである、ということが証明出来た。環論的な特異点論に関しては私はあまり詳しくないのだが、これは高木俊輔氏によると非常に良い結果のようである。
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Research Products
(4 results)