2008 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロマシン技術を用いた超軽量・高角度分解能宇宙X線望遠鏡の開発
Project/Area Number |
20684006
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
江副 祐一郎 Tokyo Metropolitan University, 理工学研究科, 助教 (90462663)
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Keywords | X線天文学 / X線望遠鏡 / マイクロマシン技術 |
Research Abstract |
本計画では、これまで世界最軽量であった日本のすざく衛星のX線望遠鏡を、重量で2桁軽量化しつつ、角度分解能は1桁向上した、「1000cm^2の有効面積と10秒角の分解能を備えたkgクラスの究極の軽量源望遠鏡」を目指す。鍵となるのが日本が得意とする様々なマイクロマシン技術である。我々は本計画以前に、シリコン結晶異方性エッチングを用いて製作した鏡面で軽量化の基本概念を実証してきた。本計画では、(1)シリコンドライエッチングによる軽量X線反射用の微細構造の製作、(2)X線LIGAを用いた軽量X線反射用の金属微細構造の製作、(3)磁気流体を用いたエッチング面の研磨、(4)シリコン水素アニールを用いたシリコンエッチング面の平滑化、(5)塑性変形もしくは弾性変形による高精度な変形の開発を行う。この方法で開発する望遠鏡は我々のオリジナルである。 今年度、我々は本方式を実証するため2つの技術目標を掲げた。1つ目がX線反射の実証であり、光学系ではなく、マイクロ鏡アレイが並んだ鏡チップと呼ばれる1cm角程度の大きさのチップを用いた。2つ目が結像の実証であり、シリコンドライエッチングで4インチ基板に穴を光学系形状に開け、まずは側壁を平滑化せず塑性変形して、可視光で結像を評価した。我々はシリコンおよびニッケル鏡チップの両方でX線反射の実証に成功し、(3)または(4)の平滑化によって側壁が3-5nm rms程度となることを確認した。また可視光結像にも成功し、回折で決まる分解能とほぼ同レベルの焦点を得た。これらは開発の大きなステップとなるものである。年度前半は特許申請(2件)の関係上、発表は差し控えたが、年度後半では、2つの国内学会での発表、1つの国際学会での招待講演を行った。また来年度、3つの国際学会での発表、1つの集録、3本の投稿論文を予定している。
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