2008 Fiscal Year Annual Research Report
ω中間子束縛系の生成と崩壊の同時測定による中間子質量起源の探索
Project/Area Number |
20684008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小沢 恭一郎 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 講師 (20323496)
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Keywords | カイラル対称性 / ハドロン質量の起源 / ω中間子 / J-PARC / 中性子検出器 / γ線検出器 |
Research Abstract |
本研究の目的は、原子核中での中間子の生成時の質量と崩壊時の質量の二つの測定を同時に行い、強い相互作用によって動的に中間子の質量が生み出される過程を探索することにある。具体的には、茨城県東海村のJ-PARC実験施設において、π中間子ビームにより原子核中にベクター中間子(本研究ではω中間子)と呼ばれる性質の良い中間子を生成し測定を行う。 本研究では、二通りの測定を実現するために、2種類の検出器を用意する必要がある。π-+p→ω+n反応の測定に用いる前方中性子の検出器とω中間子のπ中間子Y線崩壊を捉えるY線検出器である。崩壊後のπ中間子は、さらにY線二つに崩壊するので、合計3個のY線を捉えることとなる。本年度は主に前方の中性子検出器の製作を行った。 前方0度方向に出る中性子は、シンチレーション検出器による飛行時間測定を用いて検出する。中性子検出器には両読みプラスチックシンチレーションカウンターを用いる。飛行時間測定(TOF)により中性子を識別しその運動量を測定する。より高い時間分解能を得るために、立ち上がりの早い光電子増倍管(PMT)・浜松ホトニクスH2431を使用した。プラスチックシンチレータとしてはSAINT-GOBAIN CRYSTALSのBC404, BC408, BC412, BC416, BC420の5種類を用意し、時間分解能を評価し、BC408の採用を決定した。また、当初計画の4倍の面積の検出器に対してのテストにおいても同様の時間分解能が得られることが判明し、中性子検出器の立体角の拡大に成功した。 さらに測定効率を評価するためハドロン輸送モデルFLUKAを用いたシミュレーションを行い、厚さ1cm程度の鉄を挿入することで、28%の効率を得た。 また、これらの開発による性能評価やトリガー、バックグランドの評価などを定量的に行い本年度にプロポーザルを提出した。
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