2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20684014
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
相馬 清吾 Tohoku University, 原子分子材料科学高等研究機構, 助教 (20431489)
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Keywords | 角度分解光電子分光 / 超伝導 / 強相関電子系 |
Research Abstract |
重要な物性を示すが大型単結晶の育成が困難な物質について、物性発現に深く関わるフェルミ準位近傍の微細電子構造を決定するために、高分解能角度分解光電子法の微小単結晶実験技術・装置を開発する。本年度は計画の初年度であり、装置の開発に重点を置いて計画を進めた。「高分解能」と「微小スポット」を両立させるため、高輝度プラズマ放電管をベースとする微小スポット光源系の設計を行った。光学系の主構成要素であるプラズマ放電管とトロイダルグレーティングからなる基本光学系を製作し、単色化した紫外光を試料上で3mmに集光して、その光電子像を確認した。これを更に微小スポット化するために、集光レンズを試料から1〜2cmという非常に近い位置に置いた場合の光電子の電子軌道の解析を行った。電子銃かの微小スポットを光電子分析器で解析する事で、レンズからの浮遊電場によるエネルギー分解能、角度分解能への影響を調べた。また、微小試料表面を準備するため、試料作製槽を設計・製作し、光電子分光装置に接続した。装置開発と並行して、新規超伝導体の高分解能光電子分光実験を行った。本計画期間中に鉄系高温超伝導体が新たに発見され、その光電子分光実験にいち早くとりかかり、超伝導ギャップの観測および対称性の決定に世界で初めて成功した。また、微微小スポット光学系によって行う「高エネルギー・運動量分解能」の性能評価のためのPb単結晶の実験を行った。光電子分光におけるkz方向の運動量ぼけを回避するため、運動量kzが量子化された2次元薄膜単結晶を作製し、エネルギーバンド構造とフェルミ面を決定した。バンド分散の解析から、G点近傍のホール面がフェルミ準位近傍で状態密度の特異点を持っており、そのエネルギー位置が強く膜圧に依存する事を見いだした。
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