2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20684014
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
相馬 清吾 Tohoku University, 原子分子材料科学高等研究機構, 助教 (20431489)
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Keywords | 角度分解光電子分光 / 超伝導 / 強相関電子系 |
Research Abstract |
本研究では、重要な物性を示すが大型単結晶の育成が困難な物質について、物性発現に深く関わるフェルミ準位近傍の微細電子構造を決定するために、高分解能角度分解光電子法の微小単結晶実験技術・装置を開発する。微小試料からの微弱な光電子シグナルを補うため、プラズマ放電管からの紫外光を直接試料に照射できるように放電管の差動排気システムを大幅に改造した。光源系の改良による実験効率の向上によって、様々な磁性物質や強相関物質について、微細電子構造の詳細な温度変化を測定し、特異な磁性や金属絶縁体転移の起源について知見を得た。さらに、微少試料の清浄試料表面を得るために「微小試料劈かい機構」を製作し、測定真空槽の試料準備槽に取り付けて、劈かい法の成功率を向上させた。劈かいの困難な試料に対応するため、スパッタアニール法による試料表面の清浄化と、LEEDによる表面評価を行う「微小試料表面作成・評価槽」の立ち上げを行った。装置の性能評価として貴金属表面やV族半金属表面について単結晶表面の作成を行い、スピン分解光電子分光実験により試料表面の清浄性を確認した。測定効率の更なる改善のために、超高真空中で測定試料の多軸回転を行うマニピュレーターを製作し、1個の試料でも様々な方位で実験を行えるようにした。本研究の研究実地期間中に発見された鉄系高温超伝導体は非常に高い重要性を持ち、研究展開にも高い緊急性が要求される事から、本研究の微小試料実験技術を生かして高分解能角度分解光電子分光実験を行った。幾つかの異なるドープ試料でフェルミ面、バンド構造を決定し、さらに超伝導ギャップの測定を行った。その結果、Γ点中心のホール面とM点中心の電子面の間で超伝導クーパー対が散乱される事が、この物質の超伝導にとって非常に重要である事を見出した。
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