2009 Fiscal Year Annual Research Report
SQUID磁束計によるナノ磁性ダイナミクスの直接観察
Project/Area Number |
20684015
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
山口 明 University of Hyogo, 大学院・物質理学研究科, 准教授 (10302639)
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Keywords | 磁性 / 超伝導材料・素子 / マイクロ・ナノデバイス / 低温物性 / 物性実験 |
Research Abstract |
マイクロメータサイズ、ナノメータサイズの磁性微粒子・磁性構造体の磁化ダイナミクスを直接観測する目的で、超伝導磁束干渉素子(Superconducting Quantum Interference Device、以下SQUIDと略する)を使った磁束計の開発を行った。本年度はSQUIDループの大きさ1μm×1μmという微細なNbベースSQUID素子の磁場中の性能評価および、3軸マグネット系の作成および取り付けを行い、装置を完成させた。また、微小な試料をSQUID素子近傍に配置する装置として、倍率5000倍デジタルマイクロスコープ下で試料をマニュピレートするXYZステージを作成した。マイクロメートルサイズの超伝導体、強磁性金属、分子性強磁性体などの測定を4Kで行い、磁束計として働くことを確認した。さらに極低温、強磁場で働くよう装置の拡張を行い、ナノスケール単分子磁性体として知られているMn12クラスター結晶の0.7K,磁場-1.5Tから1.5T下で磁化曲線の測定を試みた。測定回路の改良を経て、磁化が量子的機構で反転する際に現れる磁化のステップを観測した。これは、1μm×1μmという極めて小さなサイズのSQUID素子を使って量子力学的現象を観測したという点で重要である。今後のサブマイクロ~ナノ領域の展開が期待されるからである。引き続き、試料を低温で最適位置へと走査できるステージの準備を行っている。以上の研究は、日本物理学会(2009年9月、2010年3月)、量子流体固体に関する国際会議(2009年8月)で発表した。また、SQUID素子の特性(高温超伝導素子とNbベース素子の比較)を雑誌「Journal of Low Temperature Physics」にて発表した。
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