2009 Fiscal Year Annual Research Report
微小周期構造で起こす原子の共鳴遷移:光ではできない操作をめざして
Project/Area Number |
20684017
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
畠山 温 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 特任准教授 (70345073)
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Keywords | レーザー冷却 / 原子泉 / 磁性ガーネット / 周期磁場 |
Research Abstract |
本年度は,前年度までに準備がほぼ完了したレーザー冷却原子泉型低速原子ビームと,マイクロメートルオーダーの微小周期磁化パターンを持った透明磁性体薄膜とを組み合わせて実験するための光学系,真空装置,検出器系を組み上げた。複雑な装置であったので,慎重に組み立て,正常に動作するかどうか段階的に動作を確認していった。原子の冷却,打ち上げ,スリットでの切り出し,CCDカメラによる観測などは問題なく達成でき,原子ビームと磁性体表面を相互作用させる実験装置は完成したと言える。ただし,原子の共鳴に近い周波数のレーザー光のエバネッセント波による原子ミラーは成功したかどうかの確証が得られなかった。引き続き行った原子ミラーと周期磁場の両方を用いる実験は,固体表面での光と磁場の両方を用いた世界で初めての原子操作実験であったが,これも周期磁場によって磁気共鳴を起こすことができたという確証を得ることができなかった。これらの実験によって装置の改良が必要な点が明らかになったので,年度の終盤はその改良を行った。 上記実験と並行して,新しいタイプの周期磁場発生装置の開発も進めた。本年度は,多数の電流導線を空中に平行に張り渡す,ワイヤーチェンバー型荷電粒子検出器のような格好の装置を作り,それにより三次元的な周期磁場を作り出した。このいわゆる「磁気格子」を用いて,偏極ルビジウム原子集団のコヒーレントなスピン操作を行うことに成功した。
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