2009 Fiscal Year Annual Research Report
卓越大気変動のメカニズムと予測可能性:階層的モデリングによるアプローチ
Project/Area Number |
20684020
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡部 雅浩 The University of Tokyo, 気候システム研究センター, 准教授 (70344497)
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Keywords | 大気循環変動 / 階層的モデル / LBM / AGCM / EnKF / 非線形力学コア / 気象予報 / 予測可能性 |
Research Abstract |
3年間の本研究課題において、本年度は階層的モデル群を用いて各種の数値実験を行った。まず、前年度構築された乾燥大気AGCMに、客観解析から推定された過去30年の非断熱加熱を与えてアンサンブル積分を行い、非断熱加熱の年々変動を除去した計算と合わせて解析することで、加熱変動による潜在的予測可能性の変化やテレコネクション・パターンの時間変動特性の違いについて調べた。その結果、夏季の東アジアの天候に影響するユーラシア大陸上の波上の循環場変動が、特定の領域における加熱偏差によってある程度コントロールされるということが分かった。この過程をさらにLBMを用いた診断で調べ、夏季天候変動の予測向上のためには全球のどの地域の非断熱加熱=降水変動を正確に表現しなければならないかについて有益な知見を得た。これらの結果は論文として印刷中である(Yasui and Watanabe 2010)。 また、前年度に同じく構築したデータ同化・初期摂動作成スキーム(pEnKF)について、海外研究者との議論を通じて従来の手法との違いを明確にし、低自由度系で付加的な実験を多数行って、結果をまとめた。これも論文として印刷中である(Koyama and Watanabe 2010)。このpEnKFを低解像度のAGCMに適用し、1997-2000年の3年間について観測された海面水温の初期値も合わせて用いた1カ月予報実験を行った。その結果、モデルの不確定性を低減する特徴をもつpEnKFを用いた場合、従来のEnKFを用いた予報よりも特に低緯度の気温・水蒸気の初期値推定精度がよくなることにより、予測スキルが向上することが分かった。
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Research Products
(9 results)