2009 Fiscal Year Annual Research Report
地球内部化学進化を知るための粒界偏析・拡散システマティックス
Project/Area Number |
20684024
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平賀 岳彦 The University of Tokyo, 地震研究所, 助教 (10444077)
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Keywords | 極細粒高緻密鉱物多結晶体 / 不適合元素 / 粒界拡散 / 希ガス / 貴金属元素 / 超塑性 / 粒界の構造変態 / 高温炉 |
Research Abstract |
20年度において開発することができた極細粒高緻密鉱物多結晶体を用いて、不適合元素である希ガスおよび貴金属元素の粒界拡散、粒界拡散クリープなどの実験を通して、鉱物粒界での拡散に伴う種々の現象が調べられた。希ガスの拡散においては、中性子の照射によって試料内に発生した希ガスを超高真空、高温下で脱ガスさせ、ガククロ法を用いて分析することで、拡散係数を求めることを試みた。結果は、拡散に伴う有意な脱ガスが見られたが、温度依存性や脱ガスの程度から、格子拡散の寄与がほとんであることが分った。つまり、マントル内での粒界における移動現象の寄与は小さいと推定された。貴金属元素においては、WやMoなどの多くの価数を取る元素の添加によって、異常な高速粒界拡散が見出された。これは、これらの元素の粒界偏析に伴い、粒界の構造変態が起きる結果であるとあると考えている。多結晶体クリープにおいては、引張歪み500%をも超える超塑性を発現させることに成功した。超塑性は、粒界すべり卓越型のクリープで、第二相粒子の分布からも、そのすべり現象を確認することができた。このように、一ミクロンを切るような粒径を持つ鉱物多結晶体では、室内条件でも、十分に粒界に関わる現象をとらえることができることが分った。クリープ現象から粒界の性質に迫れることができることが予想できたので、年度後半には、以前から地震研に設置されているインストロン型の万能変形試験機に設置できる引張試験用高温炉を設計・製作した。また、その予備試験を開始することができた。
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