2010 Fiscal Year Annual Research Report
地球内部化学進化を知るための粒界偏析・拡散システマティックス
Project/Area Number |
20684024
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平賀 岳彦 東京大学, 地震研究所, 准教授 (10444077)
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Keywords | 極細粒高緻密鉱物多結晶体 / 粒界拡散 / 超塑性 / マントル / スラブ / 下部マントル / せん断歪み / 地震断層 |
Research Abstract |
固い結晶体の固まり(多結晶体)が、融けてもいないのに水飴のように変形できる特異な性質を材料科学では「超塑性」と呼ぶ。この性質は、ある条件が整ったとき(高温下や粒径が細かいなど)に出現することが知られている。この性質(現象)は、地球内部でも起きていることが30年以上も前から推定されてきた。その出現場所は、浅いところでは氷床内部、深部では、地殻やマントル内での地震断層深部延長帯や沈み込むスラブ内で鉱物の大きさ(粒径)が小さくなる所である。材料科学では、「超塑性」は試料を引っ張った際、破壊せず>>100%の伸びを示すことで初め認定されるが、これまで、地球惑星物質において、その性質を示せた例はなく、長い間、地球内部での「超塑性」の存在は推定の域に留まってきた。本研究において、マントル構成物質の「超塑性」を世界で初めて室内実験で示し、地球内部の粒界拡散律則型の「超塑性」を実証した。二つ目の成果は、マントル超塑性において、変形の進行と伴に、構成する鉱物の粒径が著しく増大する現象を見出したことである。この粒子の成長は、マントルが流動した量(せん断歪み)で決定されており、この鉱物粒径-歪みの関係則を実際のマントル条件に適用したところ、このマントル内での「超塑性」を示す領域は、空間的-時間的に限定されることが分った。「超塑性」流動が、その流動によって、その発現の終焉を自ら作り出すのである。具体的には、地震断層深部延長帯ではせん断歪み15程度岩石が流動すると、沈み込むスラブが下部マントル上部に潜り込む際はスラブが3000キロ水平に移動すると、「超塑性」流動は終焉する。
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