2009 Fiscal Year Annual Research Report
原始惑星系円盤における鉄の状態分布:惑星の化学的多様性解明に向けた実験的研究
Project/Area Number |
20684025
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橘 省吾 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 助教 (50361564)
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Keywords | 金属鉄 / 硫化鉄 / 原始惑星系円盤 / 反応速度論 / 地球型惑星 / 分配 / 元素分別 / 硫化実験 |
Research Abstract |
地球型惑星のコア・マントルのサイズ,化学組成,酸化還元度は多様である.これは鉄の存在度や存在状態(珪酸塩・金属・硫化物)の違いとして捉えることができる.惑星内部の鉄の存在状態の違いは物質循環や固有磁場の発生を通じて表層や生命圏にも影響を与え,惑星の起源や内部進化のみならず表層システムの進化や安定性にも重要な要素と言える.惑星間の鉄の存在度や存在状態の多様性を理解するための第一歩として,原始惑星系円盤での惑星材料物質において鉄の総量がどの程度であったか,存在状態の異なる鉄が惑星形成直前にどのように分布していたかの理解が重要である.本研究では,原始惑星系円盤内で鉄の存在状態を変える主要化学反応である珪酸塩-金属間の鉄の分配(酸化・還元)や金属鉄の硫化反応の速度やメカニズムを室内実験で解明する.また,それらの反応が原始惑星系円盤内で充分に進行しえたかを検討し,微惑星形成直前の原始惑星系円盤内での鉄の存在度・存在状態の空間分布を描き,惑星形成の化学的初期条件の決定をおこなう.当該年度は,真空ゴールドイメージ炉を購入し,実験系のセットアップを終了した.当初は現有装置の改造をおこなう予定であったが,温度制御の困難など予期せぬ問題が発生したために,新規作成をおこなった.作成した実験装置により,水素,ヘリウム,硫化水素混合ガスを一定流量で流し,一定圧力・温度条件下で実験をおこなえる状況となり,金属鉄基板上での硫化鉄の核形成・成長カイネティクスデータの取得を開始した.
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[Journal Article] MELOSの目指す火星表層科学探査2009
Author(s)
杉田精司, 宮本英昭, 橘省吾, 岡田達明, 出村裕英, 大森聡一, 並木則行, 高橋幸弘, 三浦弥生, 長尾敬介, 三河内岳, 佐藤毅彦
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Journal Title
遊星人(日本惑星科学会学会誌) 18
Pages: 79-83
Peer Reviewed
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[Journal Article] MELOSが挑む「火星大気散逸・大気進化科学」2009
Author(s)
寺田直樹, 松岡彩子, 関華奈子, 山崎敦, 二穴喜文, 横田勝一郎, 斎藤義文, 中川広務, 笠羽康正, 橘省吾, 尾川順子, 佐藤毅彦, MELOSワーキンググループ
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Journal Title
遊星人(日本惑星科学会学会誌) 18
Pages: 73-75
Peer Reviewed
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[Journal Article] 高出力レーザーを使った弾丸飛翔体加速および衝突実験:秒速10kmを越える衝突2009
Author(s)
門野敏彦, 重森啓介, 境家達弘, 弘中陽一郎, 佐野孝好, 大谷一人, 藤原隆史, 持山智浩, 藤岡慎介, 黒澤耕介, 城下明之, 宮西宏併, 尾崎典雅, 兒玉了祐, 関根康人, 杉田精司, 松井孝典, 橘省吾, 大野宗祐, 荒川政彦, 竹内拓, 中村昭子
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Journal Title
遊星人(日本惑星科学会学会誌) 18
Pages: 4-9
Peer Reviewed
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