2008 Fiscal Year Annual Research Report
低温マトリクス単離顕微分光による単一分子ナノ集合体の光物性の解明
Project/Area Number |
20685001
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
三井 正明 Shizuoka University, 理学部, 准教授 (90333038)
|
Keywords | 単一分子分光 / クラスター / マトリクス単離 / 光物性 / レーザー走査顕微分光 / ナノ / 発光イメージ / 点像分布関数 |
Research Abstract |
単一分子分光は、通常のアンサンブルでは平均化されてしまう1つ1つの分子の動的挙動の解明やその周辺のナノ環境のプローブ、量子情報技術における単一光子光源の開発など、様々な分野の先端研究に用いられている。このような単一分子分光技術をクラスターに代表されるナノメートルスケールの物質群の光物性解明に応用するため、本研究では極低温真空条件下で測定可能なレーザー走査顕微分光装置を開発することを目指している。本年度はその実現に向けた第一段階として、まずは大気中における単一分子分光を可能とするための装置開発を重点的に行った。 本装置では488nmレーザー光を対物レンズ(開口数0.55)によって回折限界まで絞り込み試料基板上に照射する。試料の発光イメージを取得するためレーザースポットの二次元走査と単一光子検出器による光子計数を同期させるプログラムを自作し、基板上の任意の範囲を任意の走査ステップ幅(最小0.4nm)で発光イメージを取得することを可能とした。現セットアップでの装置の空間分解能を評価するため、スライドガラス上に極希薄密度(2×10^<-5>粒子/μm^2)で固定化した蛍光ビーズ(粒径110nm)の点像分布関数(PSF)を測定した。PSFを解析した結果、本装置の空間分解能はRayleigh分解能(540nm)をほぼ実現できていることが分かった。また同一蛍光ビーズを複数回測定しても、それらのPSFのピーク位置は試料基板平面上の±10nm以下の範囲内に再現性良く観測され、任意の蛍光像(試料)の位置にレーザースポットを精度よく移動し、確実に光照射できることを確認した。以上により、大気中の単一分子の蛍光スペクトルや蛍光強度の時間変化を測定する準備が整った。来年度は装置のさらなる改良や高度化を進めるとともに、真空装置との融合を進める。
|