2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20685004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岩本 武明 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70302081)
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Keywords | ビシクロ[1.1.1]ペンタシラン / X線結晶構造解析 / 反転σ結合 / スタファン / σ共役 / 多環式シラン / ペルシラスタファン |
Research Abstract |
前年度合成に成功したビシクロ[1.1.1]ペンタシニラドの架橋ケイ素上の置換基をエチル基からより嵩高いイソブチル基にした誘導体の合成に成功した。さらに橋頭位によい脱離基であるプロモ基を持つビシクロペンタシラン誘導体を合成し、前述のビシクロ[1.1.1]ペンタシラドに作用させたところ、ビシクロ[1.1.1]ペンタシランが橋頭位で連結されたペルシラ[2]スタファンが生成することを見出した。これはロッド状炭化水素として良く知られている[n]スタファンのケイ素類縁体として初めての化合物であるとともに、かご型骨格を持つケイ素化合物が連結された分子、そして、反転σ結合をもつペンタシラ[1.1.1]プロペランの重合体としても初めての化合物である。これまでの結果との比較から、この化合物の合成には、架橋ケイ素上にある程度立体的に大きな置換基の導入が必須であることを明らかにした。さらに合成したペルシラ[2]スタファンは2つの紫外可視吸収帯を示し、これらはビシクロペンタシランのものに比べて顕著に長波長シフトしていることを見出した。ラデル化合物の理論計算の結果、この長波長シフトは橋頭位間ケイ素-ケイ素σ結合間の共役、およびビシクロロ[1.1.1]ペンタシラン骨格を形成するケイ素-ケイ素σ結合間の共役によるものと推定された。 反転σ結合をもつジシラビシクロブタンが橋頭位で連結された化合物の合成を検討したところ、その異性体である多環式骨格をもつ化合物が生成していることを、捕捉反応により見出した。この結果、反転したケイ素-ケイ素σ結合が連結された化合物は孤立した反転したケイ素-ケイ素σ結合をもつ化合物に比べて反応性が高いことが示唆された。 また、反転ケイ素-ケイ素σ結合をもつケイ素9個からなる多環式シランの合成に成功し、その分子構造を明らかにした。
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