2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20685014
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
解良 聡 Chiba University, 大学院・融合科学研究科, 准教授 (10334202)
|
Keywords | 表面界面物性 / 有機半導体 / 電子分光 / 薄膜 / 分子配向 / 有機半導体デバイス / 移動度 |
Research Abstract |
本研究では有機半導体薄膜特有の電子構造について「分子振動と電荷結合」というキーワードを掲げて研究を行った。弱い相互作用で結ばれた分子性固体中の電荷の動きを如何にして捉えるか、電子論物理的に記述できるかが命題である。光電子分光法という古来の手法を高精度測定を通じて有機半導体の系に斬新に活用することにより、ホッピング伝導の重要な要素である再配向エネルギーとトランスファー積分の両者に直接的に踏み込むことができる。これまでに見出された、グラファイト基板上に分子を真空蒸着する手法により、これまで埋もれていた微細情報をあらわにすることに成功し、有機半導体の移動度の「第一原理測定」法としてのノウハウを蓄積した。20年度は測定精度を飛躍的に向上させ、かつ高精度に角度分解測定を実施するために、新たに設置した高分解能静電半球型エネルギー分析器(SCIENTA R3000)の調整作業に費やした。現在、一般的な光電子スペクトルの測定が可能な状態になり、分析器エネルギー分解能1.8meVを達成した。また有機半導体試料に対する、測定パラメータの最適化条件を検討し、次年度以降の新展開が期待できる状況となっている。さらに動的現象解明のため、弱く物理吸着した界面における価電子帯ホールの寿命問題について理論モデルの可能性を検討した。また本課題の主題である電荷移動度の第一原理測定が評価され、「Progress in Surface Science誌」においてハイライト研究として総説を発表した。
|
Research Products
(17 results)