2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20685014
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
解良 聡 千葉大学, 大学院・融合科学研究科, 准教授 (10334202)
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Keywords | 表面界面物性 / 有機半導体 / 電子分光 / 超薄膜 / 電子構造 / 有機単結晶 / 分子間相互作用 / 電荷移動度 |
Research Abstract |
本研究では極めて詳細な電子分光実験を通して、有機半導体薄膜の電子構造の観点から、その背景に広がる独特な電子物性を理解すべく研究を進めてきた。弱い相互作用で結ばれた分子性固体中の電荷の動きを如何にして捉えるか、電子論として如何に物理的に記述できるかが命題である。光電子分光法という古来の手法を高精度測定を通じて斬新に活用することにより、キャリア伝導機構の重要な因子である再配向エネルギーとトランスファー積分の両者に直接的に踏み込むことができる。今年度の主な成果として、(1)シャトルコック型極性分子の吸着構造と分子内電荷分布の変化の定量的決定、(2)有機半導体ヘテロ界面におけるエネルギー準位接合機構の解明、(3)単分子層薄膜における双極子相互作用と誘電率の評価があげられる。特に(3)については、極性分子系である各種フタロシアニン薄膜の単分子配向薄膜を作製し、構築される表面静電ポテンシャルの定量的解析を行った。単分子膜形成過程に双極子斥力と分子間力が相互に影響し、高被覆率下における膜構造を支配することがわかった。また単分子膜の誘電率・分極率・分子双極子の値を定量決定し、連続体(ヘルムホルツ)マクロモデルとナノ原子(トッピング)モデルの相関を議論することに成功した。
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