2008 Fiscal Year Annual Research Report
垂直磁気異方性およびスピンモードロックを利用した周波数変調型新規発振素子の開発
Project/Area Number |
20686001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
水口 将輝 Tohoku University, 金属材料研究所, 助教 (50397759)
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Keywords | 磁性 / スピントロニクス / 高周波 / モードロック / 発振 |
Research Abstract |
ナノメートルサイズのGMR(巨大磁気抵抗効果)素子を舞台に、局在スピンの歳差運動を定常的に永続させることによる高周波発振を誘起する研究が進められている。しかしながら、その発振強度は未だナノワット程度の大きさに留まっているのに加え、発振の周波数選択性に大きく影響を及ぼす共鳴線幅も十分に狭くはなっておらず、従来の発振素子の性能を超えるものにはなっていない。2005年に、アメリカのグループから同時に二つの局在スピンをモードロックさせることにより、発振強度を高める検証実験が報告された。しかしながら、この研究例においても、モードロックのメカニズムが、強磁性体内に誘起されるスピン波に因るものなのか、交換相互作用に因るものなのかが明らかになっていないのに加え、スピンを素子面直方向に立てるため、外部磁界の印加が不可欠となっており、デバイス応用の観点からは、実用化の目処が全く立っていないのが現状である。そこで、本研究では外部磁場を必要とせず、非常に高いQ値を有したまま周波数変調が可能な究極的スピン発振素子を実現することを目指す。本年度はまず、高品質・高均一度のバリア層の成長に不可欠となる超高真空、超清浄環境下での分子線エピタキシ成長環境の整備を行い、実際にトンネル磁気抵抗素子の作製に着手した。Fe/MgO/Fe系のフルエピタキシャルトンネル磁気抵抗素子を作製することに成功した。また、スペクトルアナライザを購入し、高周波測定の準備を進め、予備的な高周波応答の測定実験を行った。
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