2009 Fiscal Year Annual Research Report
次世代半導体量子ナノスピンエレクトロニクスデバイスの創製
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20686002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大矢 忍 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 助教 (20401143)
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Keywords | スピントロニクス / 半導体 / 量子ヘテロ構造 / トンネル磁気抵抗効果 / スピントランジスタ |
Research Abstract |
III-V族強磁性半導体GaMnAsを用いた量子ヘテロ構造に関しての研究を行い、以下のような新しい重要な知見を得た。 1、非磁性AlMnAsを単一トンネル障壁として有するGaMnAs磁気トンネル接合を作製し、2.6Kにおいて、本測定温度領域においては、半導体材料系で報告されている値としては世界で最も大きな175%というトンネル磁気抵抗比(TMR)を得た。また、AlMnAsの障壁高さが110meVであることを明らかにした。この大きなTMRは、AlMnAsの複素バンドを考慮することにより、定性的に説明できることが分かった。 2、非磁性AlMnAsをトンネル障壁とするGaMnAs量子井戸ヘテロ構造を作製し、金属的な伝導特性を有するGaMnAs量子井戸をヘテロ構造中に実現することに成功した。この構造において、スピン依存共鳴トンネル効果によるTMRの顕著な増大を観測した。量子準位の解析から、GaMnAs量子井戸内において、フェルミレベルがバンドギャッズ中に存在することを明らかにした。この結果は、従来からGaMnAsにおいて信じられてきたZener平均場理論におけるバンド構造の仮定とは大きく異なっていることが明らかになった。本研究により、強磁性半導体のバンド構造および強磁性秩序に関する従来の概念の問題点が明らかになったと言える。 3、上記2で作製したGaMnAs量子ヘテロ構造に対して、さらにGaMnAs量子井戸の電位を制御するための端子を微細加工により作製した。このような3端子デバイスにおいて、量子準位と、スピン依存電流をその外部端子の電圧により制御することに成功した。本研究で得られた知見は、今後、新しい3端子スピンエレクトロニクスデバイスの実現に結びつく基本的な概念になると期待される。
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Research Products
(19 results)