2010 Fiscal Year Annual Research Report
次世代半導体量子ナノスピンエレクトロニクスデバイスの創製
Project/Area Number |
20686002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大矢 忍 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (20401143)
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Keywords | スピントロニクス / 半導体 / 量子ヘテロ構造 / トンネル磁気抵抗効果 / スピントランジスタ |
Research Abstract |
本研究では、次世代の量子スピントロニクスデバイスを実現する上で最も有望視されている材料系のひとつである強磁性半導体GaMnAsの研究を行っている。GaMnAsは、強磁性半導体の最も典型的な材料として10年以上にわたって研究が行われてきた。バンド構造は、デバイス応用上極めて重要であるが、GaMnAsのバンド構造は、現在のところまだ良く理解されていない。特に、フェルミレベルの位置に関しては、従来は、価電子帯中に存在すると考えられてきたが、その考え方を疑問視する見方もあり、大きな議論となっていた。本研究では、表面層GaMnAsにおいて初めて価電子帯の量子化による共鳴トンネル効果を観測することに成功した。表面GaMnAs層の膜厚をエッチングによりナノメートルのオーダーで系統的に変化させることにより、量子準位の膜厚依存性を系統的に解析し、フェルミレベルがバンドギャップ中に存在することを初めて明瞭に示すことに成功した。また、従来、GaMnAsの価電子帯はMnドーピングの効果により大きく変調され大きくスピン分裂していると一般的には考えられてきたが、本研究により、GaMnAsの価電子帯構造がほとんどGaAsと同じであり、Mnによる変調の効果が極めて小さいことが初めて明らかになった。本成果は、ホスト半導体のバンドのキャリアが大きくスピン偏極しているという従来の強磁性半導体の概念を大きく変えるものであり、今後のデバイス応用上、また新しい室温強磁性半導体材料の開発の上で、大変重要な指針になると考えられる。
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Research Products
(25 results)
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[Book] "IIIV and Group-IV-Based Ferromagnetic Semiconductors for Spintronics", In : Andrews DL, Scholes, GD and Wiederrecht GP (eds.), Comprehensive Nanoscience and Technology, volume 4, pp.447-4622010
Author(s)
M.Tanaka, S.Ohya, Y.Shuto, S.Yada, S.Sugahara
Total Pages
2710
Publisher
Amsterdam : Elsevier