2008 Fiscal Year Annual Research Report
分子ダイナミクス制御へ向けた中赤外任意波形発生システムの開発
Project/Area Number |
20686006
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
芦原 聡 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 特任准教授 (10302621)
|
Keywords | 超短パルスレーザー / 非線形光学効果 / パルス圧縮 / 波形整形 / 超高速分光 |
Research Abstract |
本申請研究では、中赤外超短パルス発生・制御技術の確立を目指している。中赤外域(波長:3-20μm、波数:3333-500cm^<-1>)において、数マイクロジュールクラスのパルスエネルギーを持ち、広帯域なスペクトルをもつ中赤外光パルスの発生を実現する。さらに、その振幅・位相を自在に制御する中赤外パルスシェイパーを開発し、光電場が3サイクル以下という極短パルス化と、任意の時間電場波形をもつパルスの発生を実現することを目指す。 平成20年度は、半導体非線形光学材料中の自己位相変調効果を利用することで、中心波長5ミクロン、パルスエネルギー3マイクロジュールの中赤外パルスのスペクトルを、波長幅2060nm(波数幅910cm^<-1>)を超す広帯域化に成功した。その際の非線形吸収によるエネルギー損失は30%以内であった。また、広帯域化スペクトルの空間分布を測定し、空間的な不均一性は小さいことがわかった。そこで、この広帯域化パルスの分散補償実験を行った。中赤外波長域では、正および負の二次分散係数をもつ光学材料がそれぞれ存在する。そこで、材料とその厚みを適切に選べば、単純に透過させることで二次分散の補償が可能となる。フッ化カルシウム窓を利用した分散補償により、広帯域化パルスの時間幅を50fsまで圧縮することに成功した。これは、波長5ミクロンの光周期に換算すると3サイクルに相当する。簡便な分散補償実験ではあったが、これが成功した意義は大きい。今後、高次の分散を補償することにより、さらなる短パルス化ができるほか、非常に自由度の高い中赤外波形整形が可能になると期待される。
|