2008 Fiscal Year Annual Research Report
低次元グラファイトの3次元的ナノ構造制御技術の開発とその量子輸送現象の研究
Project/Area Number |
20686008
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
森山 悟士 National Institute for Materials Science, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 独立研究者 (00415324)
|
Keywords | グラフェン / ナノ微細加工 / 量子ドット / 単一電子輸送 / カーボンナノチューブ |
Research Abstract |
本研究は, 原子層一層からなる2次元グラファイト, またそれが円筒状に丸まったカーボンナノチューブ等の低次元グラファイト材料の構造を, 3次元的に制御した中で量子輸送現象を調べる。即ち, 低次元グラファイト材料にナノレベルでの引っ張りや歪みを印加しシートの幾何学的構造を制御することによって, 量子輸送現象における新機能の発現, 量子効果ナノデバイス実現の可能性を探索する。今年度において単層2次元グラファイトであるグラフェンに対してコンタクトを取り, ナノ微細加工プロセスを用いて試料の形状をトップダウン加工によってナノレベルで構造を制御することに成功した。さらに, そこで2重結合量子ドット素子構造を作製し, その単一電子輸送特性の観測に世界で初めて成功した。2重結合量子ドットは, 固体素子としての量子コンピューティングデバイスや, 量子セルオートマトンの基本素子として, 将来の量子デバイス実現の重要な基本デバイスである。2次元に拡がった構造を持つグラフェンで量子ドット間の量子力学的結合状態をコントロールすることができた本研究成果は, グラフェン材料を用いた集積化量子デバイス実現の可能性を示す重要な結果である。また, 同じく低次元グラファイト材料であるカーボンナノチューブの量子ドット素子を作製し, その電子輸送特性も精密に評価した。さらに, 極低温での量子輸送現象測定に向けた, 構造制御素子を組み込んだ極低温・低ノイズな計測環境の確立を行った。具体的には1.5Kで測定を行う4He冷凍機に対して, この構造制御素子と電気伝導測定配線を組み込んだ試料ホルダを作製した。
|