2008 Fiscal Year Annual Research Report
シリコン中でのキャリアスピン物理の解明とスピンデバイスへの応用
Project/Area Number |
20686023
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中根 了昌 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 助教 (50422332)
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Keywords | スピンエレクトロニクス / 集積回路デバイス / スピンデバイス |
Research Abstract |
シリコン集積回路の高性能化をさらに持続させるためには、これまでのスケーリング則とは異なる材料、構造、自由度を用いた新規デバイスの開発が必要であり、キャリアスピン自由度を用いたスピンデバイスが非常に有望である。スピンデバイスとして、特に本研究ではスピン電界効果型トランジスタ(スピンMOSFET)に注目し、この実現を最終目的としている。従来のデバイスとシリコンプラットホーム上で融合可能な、高性能シリコンベーススピンMOSFETを実現するためのシリコン中でのキャリアスピン物理の解明をおこなうことを目的としている。 これまで、Rapid thermal annealingによるシリサイド化の方法での強磁性Fel-xSixのSOI基板上への作製と、これを電界効果型トランジスタ(Metal-oxide-semiconductor field effect transistor : MOSFET)のソースとドレインに用いたスピンMOSFETの試作をおこなってきた。今年度の目標は、キャリアスピンの電気的検出を行うことであった。特に、チャネルドープや接合界面作製条件とスピン依存伝導特性の相関関係により、スピン物理の解明を行うことであった。年度中からFel-xSixをもちいたデバイスに加え、Fe電極をもちいたMOSFETの作製をおこなった。これはスピン依存伝導によるシグナルを、材料、デバイス構造によって分類し、その詳細を明らかとするためである。これらデバイスのトランジスタ特性を評価したところ、良好な特性を示したことから、作製条件に関しては要求の第一水準を満たしていると判断した。次に、スピン依存伝導に起因したシグナルを取得するための測定系の構築をおこなった。スピン伝導に起因するシグナルは数100nV程度と非常に微弱であるため、ノイズを最小限に抑えた測定系が必要なためである。年度末辺りから、スピン伝導に起因したと考えられるシグナルが取得され始めた。
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