Research Abstract |
多端子糸の量子もつれ状態を純粋状態の場合に変換可能性の観点から特徴つけることに成功した.本研究では3種類の変換可能性に注目し,これらの変換可能性の間の関係を明らかにした. 具体的には,多コピー変換可能性,確率的LOCC変換可能性,確定的LOCC変換可能性の3つの変換可能性について扱った.これらの変換可能性には強弱があり,多コピー変換可能性が弱く,その次に確率LOCC変換可能性が弱い.すなわち,多コピー変換可能である場合は,確率的LOCC変換及び,確定的LOCC変換が可能である.特に最も弱い変換可能性である多コピー変換可能性については,端子間の量子もつれを表すグラフを用いて分類可能であることを示した.また,確率LOCC変換可能性とテンソルラングとの関係を明らかにした.具体的には,テンソルランクと局所ランクから確率LOCC変換可能性が完全に決まる場合と,テンソルランクと局所ランクだけから確率LOCC変換可能性が完全に決まらない例があることを明らかにした.例えば,テンソルランクと全ての局所ランクが等しい場合,すべての状態は互いに,確率LOCC変換可能である.しかし,1つの系の除くすべての系で局所ランクがテンソルランクに等しく,その1つの系での局所ランクがテンソルランクよりも1つ小さい場合は異なる.この場合,その系の局所ランクの数の確率LOCC変換可能で移りあわない部分集合に分かれる.また,3体系の場合には,これ以外の場合にも,与えられたテンソルランクと局所ランクの下で,複数の確率LOCC変換可能な軌道に分かれることを示した.さらに,テンソルランクと全ての局所ランクが等しい場合であっても,全ての状態は確定的LOCC変換可能とは限らないことも示した.
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