2010 Fiscal Year Annual Research Report
地域政策の提案型制度が果たす機能と役割:理論的整理と制度設計
Project/Area Number |
20686034
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福本 潤也 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 准教授 (30323447)
|
Keywords | 提案型制度 / 地域政策 / ゲーム分析 / 事後評価 / 構造改革特区 / 社会ネットワーク分析 |
Research Abstract |
本研究では,構造改革特区制度に代表される地域政策の提案型制度を研究対象として取り上げる.提案型制度の新規導入や制度見直しに備え,提案型制度の機能と役割についての理論的整理を通じて,提案型制度の設計指針を求めることを研究目的とする.その前段として,提案型制度の導入が政策形成プロセスに与えた影響についての事例分析や,提案型制度を支える事後評価の方法論としてプログラム評価や予測市場の方法論の適用可能性についても実証分析を通して再検討を行う. 平成22年度は,1)構造改革特区や地域再生計画などの提案型制度の適用実績の実証的特性に関する分析と,2)規制影響分析の方法論の開発の2つの課題に取り組んだ.1)の研究では,政府ホームページに公開されているデータを使用して,構造改革特区制度の適用実績に関する計量分析を行った.分析結果として,人口が多い市町村ほど適用事例が多いことを明らかにした.また,人口が同程度の市町村間で比較すると,人口減少率が高い市町村や財政状況が悪い市町村ほど適用事例が多いことを明らかにした.人的資源や財政条件に恵まれた市町村ほど制度を利用する傾向がある一方で,人的資源等が同様の場合には置かれている条件がより厳しい市町村ほど制度を利用する傾向があることを示した点で,大変有益な分析結果であると言える.一方,2)では,車検制度の緩和を評価するための規制影響分析の評価手法として,自動車を構成する複数の部位間の相互依存関係を考慮した上で車検期間の延長が自動車不具合率に与える影響を定量的に評価するための計量手法を提案した.
|