2009 Fiscal Year Annual Research Report
水系散発感染を検出するための下水試料ウイルス調査法の開発
Project/Area Number |
20686035
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
片山 浩之 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 准教授 (00302779)
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Keywords | 病原微生物 / 都市水循環 / 安全管理 / 下水処理 / 遺伝子工学 |
Research Abstract |
水試料に含まれるウイルスのうち、少数派のものを検出するためには、従来の多数派のウイルスを検出する方法に比べて、大容量の水試料を濃縮してウイルスを選択的に検出する必要がある。ウイルス濃縮の大容量化について、従来の平膜タイプのものに比べて20倍以上の膜面積を持つプリーツカートリッジタイプの膜を用いることにより、ろ過容量を増やすことに成功した。今年度は、この手法を河川水などの環境水試料に用いることで、その有用性を調べたところ、ウイルスの検出を阻害する物質をウイルスとともに濃縮していることが判明した。精製水にフミン酸を加えた系でも同じような結果が得られたため、環境水中のフミン質がウイルス検出阻害の一因となっていることが推定された。また、そこで問題となるウイルス検出阻害について、ゲルろ過法やシリカビーズを用いたRNA抽出法により、阻害を低減できることを明らかにした。 選択的な検出手法の開発に関しては、ピコルナウイルスの一種であるアイチウイルスについて、遺伝子型別に検出するプライマー、プローブを設計した。共通のプライマーで増幅し、異なるプローブに反応するようにしており、使用する試料の液量を節約することが可能となっている。アイチウイルスはヒトに特異的に感染すると考えられており、病原性を引き起こさないものの環境試料には比較的多く含まれることから、今後、ヒト糞便の程度を表す指標としての有効性を検討する。
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Research Products
(6 results)