2008 Fiscal Year Annual Research Report
先進電子顕微鏡法に基づくセラミック界面機能発現メカニズムの解明と設計
Project/Area Number |
20686042
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴田 直哉 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 助教 (10376501)
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Keywords | セラミックス / 界面 / STEM / 原子・電子構造 |
Research Abstract |
本年度は、超高分解能観察に適した種々のセラミックス界面モデルの作製を行った。その結果、Al203、TiO2の良好なバイクリスタルサンプルの作製に成功した。特に、Al203バイクリスタルに関しては、Y、Zr、La、Luなどの希土類酸化物を界面部に添加し、偏析粒界を人工的に作製する技術を確立することに成功した。これらのモデル界面に対して収差補正STEM法を適応し、粒界構造および偏析元素を原子レベルで直接観察した。その結果、粒界には特異な配位環境を有する原子サイトが周期的に存在しており、このようなサイトに密接に関連して偏析が起こることがわかった。また、添加元素を変化させると添加物の種類に応じて偏析元素のサイトが大きく変化する現象をとらえることに成功した。これは添加元素の価数、イオン半径などの効果によって、粒界における安定性が大きく変化することを示唆している。このような現象を理解するために第一原理計算による理論アプローチも取り入れ、実験的に観察された偏析サイトが理論的にも安定なサイトになることを検証している。一方、結晶表面や異相界面に関するモデルサンプルの作製も行い、収差補正STEM法を用いた構造解析を行った。今回選択した系はTiO2系である。TiO2表面をHVEM/STEMを用いて表面と平行方向から観察することにより、その複雑な表面構造を解明することに成功した。また、Au-TiO2界面に関してもAuナノ粒子のサイズ変化に伴い大きく原子構造が変化する様子を捉えることに成功した。
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