2009 Fiscal Year Annual Research Report
先進電子顕微鏡法に基づくセラミック界面機能発現メカニズムの解明と設計
Project/Area Number |
20686042
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴田 直哉 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (10376501)
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Keywords | セラミックス / 界面 / STEM / 原子・電子構造 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度作製に成功した希土類酸化物元素を添加したアルミナ粒界に対して、原子分解能STEMによる希土類元素構造直接観察を行った。特に、これまで困難とされてきた界面に埋め込まれた希土類原子1個1個の直接観察に挑戦した。通常の(S)TEM観察においては、界面と平行な方向から観察する断面観察が主流であるが、この方法では界面に存在する希土類原子を奥行方向に投影して観察するため、平均構造とならざるを得ない。一方、一般には平面観察と呼ばれる界面に垂直方向からの観察法を用いれば、界面上の希土類原子分布を直接観察できる可能性があるが、厚い上下の結晶部の影響から界面の原子1個1個の情報を抽出することは非常に困難であると考えられてきた。そこで、本研究では、STEM法を最適化することにより、Y添加アルミナ粒界の原子スケールの平面観察を行い、界面上のY原子1個1個が直接観察可能かどうか検証した。まず、STEM像理論計算を用いてアルミナに低対称方位から電子線を入射することにより、電子プローブの結晶中での広がりを抑え、原子分解能が達成できることがわかった。次に、厚い上下の結晶に対して界面のY原子の識別感度を見積もるため同様のシミュレーションを行い、フォーカスを界面直上に固定することができれば、上下のアルミナ結晶のバックグラウンドに対してYの信号が顕著に検出できることがわかった。このような条件を実際の実験に適用した結果、界面上のY原子1個1個の直接観察に成功し、Y原子は界面において2次元的な規則構造を形成することが世界で初めて明らかとなった。
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