2009 Fiscal Year Annual Research Report
外部刺激応答機能を有するハイブリッドカプセルの創成
Project/Area Number |
20686046
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
片桐 清文 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教 (30432248)
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Keywords | 有機-無機複合体 / チタニア / 交互積層法 / 磁性ナノ粒子 / 脂質二分子膜 / 磁気ハイパーサーミア / 外部刺激応答材料 / 薬物運搬体 |
Research Abstract |
本研究では、外部刺激応答性の新規なカプセル材料の創成を目的とする。コロイド粒子をテンプレートに用いた交互積層法と無機材料の水溶液プロセスによる合成法に着目し、外部刺激応答機能を有する有機-無機ハイブリッド型のインテリジェント中空カプセルの作製を行った。特に、高分子電解質層の表面状態の無機結晶の溶液プロセスからの析出への影響などを明らかにし、光、磁場等の外部刺激に応答して、内包物を放出する機能の発現を図る。3年間の研究計画の2年目にあたる本年度は以下のような成果を得た。 前年度までに開発したFe_3O_4/脂質二分子膜/高分子電解質ハイブリッドカプセルにおいて、内包物の放出挙動を詳細に検討した。標識物質に色素を封入し、交流磁場を印加すると、Fe_3O_4ナノ粒子の発熱によって脂質膜の物質透過性が変化し、内包物をオンデマンドで放出する。この際に印加する磁場の強度を変化させると、それに応じて内包物放出速度が変化することが見いだされ、目的に応じて放出挙動をコントロール可能であることが分かった。また、カプセルの分散液におけるカプセルの濃度を変化させた場合、一定の磁場の印加であれば、カプセル濃度に関わらず、放出速度は変化しないことが分かった。この際、分散液のFe_3O_4ナノ粒子の発熱による温度上昇は濃度が濃いものほど大きくなった。このことから、このハイブリッドカプセルにおける放出においては、磁性ナノ粒子の局所的な発熱で脂質膜の相転移をトリガーでき、分散液全体が温まる必要がないことが分かった。この結果は、薬物運搬体として、磁性粒子の発熱による正常細胞へのダメージを回避するために重要となる。これらの結果から、医薬品分野などに展開可能な外部刺激応答性の有機-無機ハイブリッド中空カプセルの創成に成功した。
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Research Products
(14 results)