2008 Fiscal Year Annual Research Report
光触媒単結晶の異方的特性からみた動的機構解明の研究
Project/Area Number |
20686048
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
菊川 直樹 National Institute for Materials Science, 光触媒材料センター, 主任研究員 (00442731)
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Keywords | 酸化物 / 電子状態 / 光触媒 / 層状ルテニウム酸化物 / 単結晶 |
Research Abstract |
日本発の環境低負荷型技術である半導体光触媒は, クリーン燃料資源製造に道を拓く水分解や, 環境浄化に貢献する有害有物質の分解・除去を可能にする. 代表的な光触媒材料である二酸化チタンだけにとどまらず, その第外光応答だけではなく, 太陽光や室内灯, すなわち, 可光下で応答する新規な光触媒材料の開発をおこなうこと, さらには物質の電子状態からその発現機構を探ることを目的として, 本年度は幅広い研究によって以下の成果を挙げることができた. (1)新規に開発したビスマスより構成さ敵る酸化物の光触媒のさらなる詳細な特性を調べた. 具体的には,照射する光の様々な周波数により, 活性がどのよっに変化するのかに着目した.この物質の光吸収は, 他の光触媒料とは異なり, 可視光領域でなだらかに変化する. このことを反映して,我々が究おこなった波長420nmか660nmの幅広い間では, 活性に著しい違いは見られなかった. これは, この物質の電子構造に起因するものとして解釈できる. (2)これまで申請者がおこなってきたルテニウム酸化物の研究は, 光触媒そのものの効果は現在のところ見られていない. しかしながら, その電子状態の理解は, 大いに光触媒研究にも参考・応用でるのと考えている. 我々だけでなく, 他のグループも独立して研究をおこなってきたが, 今回それらをまとめた解説記事を「固体物理」に執筆する機会を与えられた.(2008年9月号に掲載)それを通して改めて様々な議論をする会がえられ, 今後の研究の方針をより明確に定めることができた. (3)赤外線集中加熱炉は浮遊帯域法により純良単結晶が得られるという利点がある. 我々が知る限りまだこの方法では成功していなかったCaRuO3の育成に今回初めて成功した(JPSJ(2009)月号に掲載). 純良化の余地は残されているが, 今後も継続していく研究であると確信している.
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