Research Abstract |
遠方の広い水中空間を映像化することを目指した水中音響レンズの検討を行った.レンズは超音波式カメラに装着して利用する前提であるが,ここではカメラ本体の検討はしない. レンズ材は物理特性を既に把握しているアクリル樹脂(三菱レイヨン,ACRYLITE)を用いることとしたが,屈折率の水温依存性について精密計測を行い,実験式を取得した.これに基づいて,水温変化に伴う集束位置の補正への指針を取得した. 上記アクリル樹脂をレンズ材として,広視野且つ高画質を実現するため,観察対象距離5〜30mを目標として,レンズの有効径を30cmとし,レンズ収差の影響をキャンセルし画質を確保するために3群3枚構成,Fナンバー1.33のレンズを設計し,制作をした.このレンズは,3枚のうち中間のレンズの位置をコントロールすることで,観察対象距離が可変となる.さらに,実験的な性能確認のため水槽試験を実施中である. 既存の非球面単レンズを用いて性能評価法の検討を実施した.非球面単レンズの集束特性について,実験的に入射角0,4,8度とした入射角特性,0.5,0.7,1MHzとした周波数特性について取得した.さらに,周波数0.5MHzについてはFDTDによる波動的数値シミュレーションを実施し,計測結果と比較したところ両者の集束位置はほぼ一致し,その音場の傾向は数値シミュレーションで再現できることを確認した.FDTDでは集束音場の位相評価を目標としており,シミュレーションの精度をさらに上げる必要があるが,現時点の成果として,設計階段で数値シミュレーションにより,おおよそのレンズ性能の確認ができるようになった.
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