2008 Fiscal Year Annual Research Report
量子ビーム・マイクロ波複合利用による有機半導体の電荷ナノダイナミクス
Project/Area Number |
20686064
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐伯 昭紀 Osaka University, 産業科学研究所, 助教 (10362625)
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Keywords | 量子ビーム / 時間分解マイクロ波伝導度 / 光電気特性 / 共役分子 / 電荷キャリアダイナミクス / 有機工レクトロニクス材料 / パルスラジオリシス / ドナー・アクセプター |
Research Abstract |
本課題では量子ビーム(主に光・電子線)とマイクロ波を複合利用することで、有機半導体材料中の電荷キャリアのナノ秒〜ミリ秒におけるダイナミクスと薄膜構造(ナノ〜マイクロメータースケール)の相関を研究する。マイクロ波は電極レス電気伝導度測定に用い、電子線はパルスラジオリシスの照射源として利用し、両者の結果を併せることで、未だ不明な点が多い有機半導体中の電荷ダイナミクスの基礎科学に貢献する。本課題の成果は高性能有機デバイスの実現、量子ビーム・マイクロ波技術利用の進展開に寄与すると期待される。 本年度は時間分解マイクロ波伝導度と光過渡吸収分光を組み合わせ、単結晶ルブレン中の電荷キャリアダイナミクスを電極レスで測定した。両者の信号は同じ時間挙動を示し、共に励起強度を上げることで減衰が加速されことから、結晶中で電荷が高効率で移動し2次の反応速度にしたがう電荷再結合が起きていることが分かった。さらにナノ秒電子線パルスラジオリシスによる過渡種の同定と併せて、電荷キャリア移動度・両極性・異方性・キャリア生成量子効率・S-S消光の励起強度依存性・一電子酸化還元状態の吸光係数・電荷再結合速度を実験的に求めることに成功した。 また、ドナー・アクセプター系で特に重要となる広い波長領域をカバーするシステムを導入した。このシステムを用い、π共役高分子(ドナー)に電子アクセプターを添加したフィルムの光電気特性を測定した。ドナー・アクセプター(D-A)を利用した光電荷キャリア生成効率の増加だけでなく、生成したアクセプターアニオンラジカルを分光することでキャリア濃度を見積もることができることにある。アクセプター濃度依存性・発光クエンチ・XRDの結果と併せて立体規則性によるポリマー中の電荷移動度の違いやD-Aのキャリア生成メカニズムを明らかにした。
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Research Products
(4 results)