2010 Fiscal Year Annual Research Report
量子ビーム・マイクロ波複合利用による有機半導体の電荷ナノダイナミクス
Project/Area Number |
20686064
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐伯 昭紀 大阪大学, 工学研究科, 助教 (10362625)
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Keywords | 量子ビーム / 時間分解マイクロ波伝導度 / 光電気特性 / π共役分子 / 電荷キャリアダイナミクス / 有機エレクトロニクス材料 / パルスラジオリシス / レーザー発振 |
Research Abstract |
本課題では量子ビーム(主に光・電子線)とマイクロ波を複合利用することで、有機半導体材料中の電荷キャリアのナノ秒~ミリ秒におけるダイナミクスと薄膜構造(ナノ~マイクロメータースケール)の相関を研究する。マイクロ波は電極レス電気伝導度測定に用い、電子線はパルスラジオリシスの照射源として利用し、両者の結果を併せることで、未だ不明な点が多い有機半導体中の電荷ダイナミクスの基礎科学に貢献する。本課題の成果は高性能有機デバイスの実現、量子ビーム・マイクロ波技術利用の進展開に寄与すると期待される 本年度はチオフェン・フェニレンからなるπ共役オリゴマーの光電気特性および光特性の相関を検討した。この材料の電気特性(電荷キャリア移動度)は電界効果トランジスタなどで多くの研究がなされており、また光特性についてはAmplified Spontaneous Emission (ASE)と呼ばれる発光スペクトルの狭線化が報告されている。しかし、光電気特性、すなわち光照射で生成する電荷キャリアのダイナミクスについては、高い発光量子収率のトレードオフとして光電荷キャリア生成効率が非常に低いため、これまで報告されていなかった。そこで時間分解マイクロ波伝導度測定(TRMC)と過渡吸収分光(TAS)および発光測定を組み合わせることで、光電荷キャリアを精度よく測定することに成功し、そのダイナミクスとレーザー発振との相関をレート方程式により解析した。その結果、発光の誘導放出はキャリア生成効率を非線形に下げていることが分かり、またASEが起こらない条件では、長いエキシトン拡散長のため、エキシトン消滅が効率よく起きていることが判明した。これにより光・電気デバイスへの応用において、重要な知見が得られ、また、電子線パルスラジオリシスによってラジカルカチオンの吸収スペクトルを定量した。
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Research Products
(5 results)