2011 Fiscal Year Annual Research Report
量子ビーム・マイクロ波複合利用による有機半導体の電荷ナノダイナミクス
Project/Area Number |
20686064
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐伯 昭紀 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教 (10362625)
|
Keywords | 量子ビーム / 時間分解マイクロ波伝導度 / 光電気特性 / パイ共役分子 / 電荷キャリアダイナミクス / 有機エレクトロニクス材料 / パルスラジオリシス / 自己組織化材料 |
Research Abstract |
本課題では量子ビーム(主に光・電子線)とマイクロ波を複合利用することで、有機半導体材料中の電荷キャリアのナノ秒~ミリ秒におけるダイナミクスと薄膜構造(ナノ~マイクロメータースケール)の相関を研究する。マイクロ波は電極レス電気伝導度測定に用い、電子線はパルスラジオリシスの照射源として利用し、両者の結果を併せることで、未だ不明な点が多い有機半導体中の電荷ダイナミクスの基礎科学に貢献する。本課題の成果は高性能有機デバイスの実現、量子ビーム・マイクロ波技術利用の進展開に寄与すると期待される 本年度は、フレキシビリティー・低価格の可能性・大面積化・低コストなどの点から、近年注目を集めている有機太陽電池(OPVc)材料について、マイクロ波法(TRMC)を用いてナノスケールの電荷生成・輸送特性評価を行った。ドナー高分子とアクセプター分子を混合し、それらをナノスケールで相分離させることで高い電荷分離効率を意図したバルクヘテロジャンクション(BHJ)型太陽電池は、その簡便なプロセスや合成分子の多様性から、高効率化を目指した研究が世界中で行われている。本手法で得られた電荷キャリア移動度は、SCLC法などで得られるBHJ膜内でのキャリア移動度に比べ、数桁高い値であり、2成分混合系においても、TRMCでプローブされるナノスケールの領域では、高いキャリア移動度を有し、その値は最終的なPCEとも相関していることが示された。また、不純物効果や劣化効果についてもOPVcとTRMCによる評価を行い、過渡伝導度の寿命や強度について検討した。これらにより、TRMC法は不純物・劣化効果を最小化し、迅速かつ簡便なBHJ層の電極レス直接評価手法として、プロセス・材料スクリーニングに有効であることが示された。
|
Research Products
(7 results)