2009 Fiscal Year Annual Research Report
低環境負荷高効率エネルギーシステムに向けたボトムアップ型機能性薄膜成長技術の構築
Project/Area Number |
20686065
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
一野 祐亮 Nagoya University, エコトピア科学研究所, 准教授 (90377812)
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Keywords | 酸化物超伝導 / エピタキシャル成長 / パルスレーザー蒸着法 / Nd : YAGレーザー / 高臨界電流 / コンビナトリアル法 |
Research Abstract |
超伝導磁気エネルギー貯蔵装置や核融合炉などの低環境負荷型高効率エネルギーシステムの低コスト・小型化を目指して、システムの核である超伝導体などの機能性薄膜の高性能化をボトムアップ型エピタキシャル薄膜作製技術の構築によって実現することが本研究の目的である。 高い臨界電流を持つYBCO超伝導線材の作製を目指して、配向酸化物中間層を持つ金属基板(IBAD-MgO)上にNd : YAGレーザーを用いたパルスレーザー蒸着法(PLD法)によってYBCO膜をエピタキシャル成長させ、膜厚に対する結晶成長や超伝導特性に関して評価した。その結果、厚さ1.8μmまでc軸配向し、なおかつ基板面内方向にも結晶方位がそろったエピタキシャルYBCO厚膜を得ることができた。この厚膜の超伝導特性を評価した所、膜厚増加に伴って臨界電流密度Jcが低下する傾向が見られた。この傾向は、従来のエキシマPLD法で作製したYBCO厚膜と同様の傾向である。1cm幅辺りに流すことが出来る臨界電流Ic*は膜厚に伴って単調増加し、最大で190A/cm-width@77Kに達した。 YBCOは粒界においてJcが減衰するという問題点を持っており、これを解決するためにはCaを添加し、キャリアをドーピングすることが有効である。しかし、過剰なCaドーピングは超伝導転移温度Tcの低下を招くため、最適なCaドーピング量の探索が必須である。従来では、様々なCaドーピング量を持つ焼結体を作り、一つ一つ薄膜にして評価する必要があり、非常に多くの時間を費やした。しかし、H21年度に導入した多条件自動PLD機構を用いたコンビナトリアル法によって、一枚の基板上にCaドーピング量の異なるYBCO膜を一度に作製することが可能となり、研究の高速化が可能となった。このコンビナトリアル法を用いて、Caドープ量が0~10wt%のYBCO膜をIBAD-MgO基板上に作製したところ、約2wt%でJcが極大値を示す傾向が得られた。これは、キャリアドーピングで粒界特性が改善されたことを示している。
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Research Products
(10 results)