2009 Fiscal Year Annual Research Report
深海底熱水活動域における化学合成微生物の共生機構を分子的に理解する
Project/Area Number |
20687003
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中川 聡 Hokkaido University, 大学院・水産科学研究院, 准教授 (70435832)
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Keywords | 深海底熱水孔環境 / 共生 / 生物間相互作用 / 糖鎖 / グライコミクス |
Research Abstract |
本研究は糖鎖分子を扱う第三の分子生物学(=グライコミクス)を深海底に導入し、共生関係にある微生物-大型生物の相互作用・相互認識機構を分子レベルで解明することを目的とするものである。 平成21年度は、計画していた目標を全て達成し、想定以上の成果を得た。本年度は、主に1.全ゲノム解析済みの共生微生物(純粋培養細胞)、2.ホスト生物の血清、3.ホスト生物のバクテリオサイトから分画した共生微生物細胞(環境試料)を用いて、(1)現有設備による微生物糖鎖の精製・検出・構造解析法の確立、(2)微生物細胞表層に特化した糖鎖解析技術の確立、(3)ホスト生物における糖鎖認識タンパク質の探索と性状解析、の3項目を重点的に進めた。その結果、(1)においては、糖鎖精製法・ラベル化法・MALDI-TOFMSの設定を最適化することにより、ピコモルオーダーの糖鎖を高感度に検出し構造解析することが可能な系を確立した。また、(2),(3)においてはハイスループットなアレイ技術を用いて解析を行なった。(2)においては、FISH (fluorescent in-situ hybridization)法により染色した微生物細胞をそのままレクチンアレイに供し、共生微生物の細胞表層に高発現している糖鎖をプロファイリングすることに成功した。(3)においてはホスト生物の血清中にレクチン活性を検出することに成功したが、糖鎖アレイにて性状解析できるほどレクチン含量は多くなかったため、現在レクチン分子の濃縮・精製を行なっている。 加えて、インド洋中央海嶺で実施した研究調査航海において、細胞内共生微生物を有する希少巻貝の大群集を発見し、平成22年度に行う解析に必要となる細胞内共生系試料を採取・調整することに成功した。 以上の結果の一部は、国内外における複数の学会や新聞・国際誌等で報告した。
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Research Products
(8 results)