2010 Fiscal Year Annual Research Report
Phs1ファミリーによるホスファチジルイノシトールの細胞内輸送機構の解明
Project/Area Number |
20687008
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木原 章雄 北海道大学, 薬学研究院, 教授 (50333620)
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Keywords | 極長鎖脂肪酸 / ホスファチジルイノシトール / スフィンゴ脂質 / 脂質輸送 / 脂質 / 生体膜 / 脂肪酸 / 縮合酵素 |
Research Abstract |
Phs1ファミリーは真核生物において保存された3-ヒドロキシアシルCoA脱水酵素であり,極長鎖脂肪酸の伸長ステップの3段階目の反応を触媒する。極長鎖脂肪酸は生体内で多様な機能を有しているため,その合成不全はスフィンゴ脂質やホスファチジルイノシトール等の脂質代謝や輸送に異常を生じ,様々な疾患へと結びつく。遺伝性不整脈源性右室異形性患者においてPhs1ファミリーの哺乳類ホモログであるHACD1遺伝子に変異が観察されたことを踏まえ,我々は変異型HACD1タンパク質の生化学的な解析を行なった。また,極長鎖脂肪酸伸長サイクルの全体像の解明がPhs1ファミリータンパク質の機能解明にも結びつくと考え,極長鎖脂肪酸伸長反応の律速段階である縮合酵素(ELOVL1-7)に関する解析を行ない,それぞれの酵素の基質特異性の解明とスフィンゴ脂質合成との調節機構を明らかにした。また,黄斑変性疾患である3型シュタルガルト病の原因遺伝子として知られるELOVL4のコードする変異タンパク質が他の縮合酵素とヘテロオリゴマーを形成し,この相互作用が病態へ関与する可能性を示した。さらにELOVLやHACDの精製は既に完了し,プロテオリポソームへの再構成系を用いた活性測定を現在行なっているところである。また,HACD1, ELOVL1のノックアウトマウス作成に関しては,HACD1がES細胞での相同組み替え,ELOVL1についてはヘテロノックアウトマウスの作成が完了し,今後解析していく予定である。
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Research Products
(10 results)