2008 Fiscal Year Annual Research Report
情動的ストレス状況下において「花」が人にもたらす生理的・神経科学的効果
Project/Area Number |
20688001
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
望月 寛子 National Agricultural Research Organization, 花き研究所花き品質解析研究チーム, 主任研究員 (60450318)
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Keywords | 生理学 / 血圧 / 精神的ストレス / 花 / 心臓血管系 / 回復 |
Research Abstract |
花や緑の存在によって私たちは"安らぎ"を感じることができる。本研究ではストレス状況下において花の写真を提示した場合の心臓血管系(血圧・心拍)の変化を測定し、花によるストレス軽減効果を検証した。 実験開始前の段階において、被験者の血圧はやや高い値を示していた(平均血圧100.8mmHg : 収縮期130.6mmHg、拡張期82.3mmHg)。その後、精神的なストレスを引き起こす不快画像(国際情動喚起システム : IAPS, Langet al., 1999)を提示(6秒間)することで血圧はさらに上昇し、不快画像が消えると減少に転じた。不快画像が消えた後に「(1)花の写真」を6秒間提示した条件と、「(2)花のモザイク写真」、「(3)固視点」を提示した条件において血圧の変化を比較した結果、「(1)花の写真」を提示した条件では他の2条件に比べて血圧値が有意に低いことが示された。「(1)花の写真」と他の条件との平均血圧値の違いは最大約2mmHgであった。心拍数については条件間で有意な差は認められなかった。 本研究の結果は、花の写真がストレスによって上昇した血圧を効率的に低下させる(血圧回復性を促進する)ことを示唆している。「健康日本21(厚生労働省)」では、国民の収縮期血圧が平均2mmHg低下すると循環器疾患全体で2万人の死亡が予防できると試算している。職場や家庭に花を飾り、ストレスによってもたらされる血圧上昇を緩和することは、心身の健康の維持に重要な役割を果たす可能性がある。
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Research Products
(3 results)