2010 Fiscal Year Annual Research Report
情動的ストレス状況下において「花」が人にもたらす生理的・神経科学的効果
Project/Area Number |
20688001
|
Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
望月 寛子 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 花き研究所花き品質解析研究チーム, 主任研究員 (60450318)
|
Keywords | fMRI / 花 / 扁桃体 / ストレス軽減 |
Research Abstract |
【目的】平成20から21年度の検証によって、ストレスによる交感神経系の過活動は花の写真を見ることで効率的に抑制されることが明らかとなった。ストレスを受けて上昇していた被験者の血圧やストレスホルモン(コルチゾール)は花(一重のスプレー菊)の写真を見ることによって効率的に低下した。そこで本年度は同様のストレス軽減効果を脳活動の視点から検証し、花による自律神経系の脳内制御機構の検証を行った。 【方法】健常な18歳以上30歳以下の男女16名が本実験に参加した。情動的なストレスを与えた(恐怖・嫌悪などの不快情動を喚起させる画像を提示)後に花の写真を提示する条件と花以外の写真(花のモザイク写真)を呈示する条件を設け、fMRIによる脳活動の計測を行った。被験者はストレス画像を提示された時とそれ以外の画像(花、モザイク)を提示された時に主観的不快度を毎回ボタン押しによって報告するよう求められた。 【結果とまとめ】情動的なストレス写真を提示されると被験者の主観的不快度は一様に上昇した。その後、花の写真を提示された条件の方が花以外の写真を提示された条件に比べて不快度は有意に減少した(P<0.05)。また、花の写真を提示した条件では花以外の写真を提示した条件に比べて扁桃体の活動が低く抑えられていた(P<0.05)。扁桃体は情動の生起に関わる脳領域であり、とくに強い不快感情を抱くと活動が増加することが知られている。本研究結果は情動的なストレスによって増加した扁桃体の過活動が花の写真によって効率的に抑えられることを示唆している。
|